2023年の振り返り-仕事編-

2023年の振り返り-仕事編-

現職に入社し約10ヶ月がすぎました。

これまで振り返りを定期的に書き残していましたが、今年は業務内でのでのインプット⇄アウトプットがメインだったので、2023年の振り返り-仕事編-として、まるっと書き残すことにしました。途中途中で書き残しが出来ていれば良かったのですが、あっという間に過ぎていった期間だったので思い出しつつではありますが、自身の記憶のアーカイブの役割としたいと思っています。

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tl;dr
  1. 事業インパクトを残すことに意識が強くなった
  2. スタンスを示すことへの向き合い方に苦労した
  3. データの可視化の価値に気づき、データプロダクトという概念を考えるようになった

1/ 事業インパクトへの意識が強くなった

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データアナリストとして約3年働いてきて、この仕事のバリューは突き詰めると以下4点になると思っています。

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4 values of Data Analyst
  1. 事業(プロダクト)機会を探索し、データを根拠に、向かうべき先を決める
  2. 向かうべき先に向けて、組織を動かす。
    1. そのために、正確なデータをつくり、わかりやすく伝える
  3. 組織全体の意思決定の精度を上げるために、データの利活用の推進・型化を進める
  4. 早く正しい意思決定をつくるために、データ活用の品質と生産性を高める

前職と同じロールで入社したので、この4つのバリューを発揮することが重要なことには変わらなく変わったことは、軽微な役割範囲と、携わるビジネスモデルとグロース対象先の3点。後ろの2つは、ビジネスモデルがメディア(グルメサイト)からECモデルに、対象先がプロダクトから事業となった。

ビジネスモデルと対象先が変わったことで、これまでエンドユーザーのプロダクト体験や集客改善にフォーカスし間接的に事業インパクトを与えていたところ(ex. 集客人数やCVR改善の先に利用してくれる飲食店の新規獲得、LTV等に繋がる)から、現在はエンドユーザーの注文にまつわるボトルネック改善やパートナーのオペレーション上の改善が直接的に事業インパクトにヒット・転換されること(ex. 需要面ではCVR改善や供給面では配達数が増えることで直接的に流通額upに繋がりやすい)が増えました。

また、ビジネスモデルがBtoBtoCでテイククレート方式(売上連動モデル)、つまり自社のプロダクトを持ちつつ、パートナーの事業をグロースさせることが自社の売上になるプライシングモデルなので、事業やプロダクト戦略・落とし込まれた改善施策に対して、基本的に自社だけでなくパートナーも含めた合意を得ることが必要になります。結果、自社だけでクイックに意思決定を繰り返し実行するタイプとは異なり、パートナーを動かすために戦略や施策後のインパクトを見積もる重要性が以前よりも増しました。

アナリストのアウトプットとして日々作っているKPI、分析、ダッシュボード等は単体では1円も産まないですが、これらをチームと連携してデリバリーする、時には自分が現場で直接Facingすることで、事業インパクトをどれくらい与えられるかを強く意識した1年になりました。

2/ スタンスを示すことへの向き合い方に苦労した

「スタンスをとる」ことが増えました。

現職では日々使われる言葉で、価値観、アプローチを自分で言語化し示すことを指します。

ただし、転職直後はスタンスを示すことがなぜ重要かわかっていませんでした。それは、エゴではないかと。「データに基づき意思決定するカルチャーがあるにも関わらず、対照的なスタンスだ!!」と感じていました。

自分と同時期に入社し、現在はCGOを務める橋原さんの記事にも記載されてますが、そのまま言葉をお借りすると、これまでは事業会社にいたこともあり、意思決定は「まずは小さくても施策やABテストをやってみて、結果が出て今後を決める」というやり方が多く「誰かがやると言ったからやる」ではなく、「良さそうだからやってみて、データや結果を見て判断・意思決定すること」が改善サイクルを回すOSでした。

つまり、何かをやる前から意思決定する、「スタンスをとる」ことは滅多にありませんでした。また「このアプローチ is 正解」という教科書やお作法的なべき論を強く持っていました。

今ではこの重要性がわかりますが、入社数カ月間は向き合いきれていなかったので、自分が提案したことを仮に断られても「それはそっか。自分が受け手でもリスクは取りずらいし、同じ意思決定をしていると思う」と自己完結したり、パートナーへ合意できているにも関わらず納得感を持てないことなど正直ありました。

しかし、進めてきてわかったことは、施策の主体はパートナーになるため、パートナーを説得して、意思決定を促さないとスタートラインに立てないことが多いということです。

特にプロダクトではなく、現場のサービス設計や後戻りしにくいオペレーションの改善に対しての未経験の施策提案が多かったので「本当に始めてもいいのか?」と不安を感じているパートナーに「これでうまく行きます!」と意思決定を促す必要があるわけです。

もちろん、不確実性を減らすための材料は集めますが、他社事例やデータがない部分も多く、提案している施策・改善が本当に機能するかどうかは未知数なことがほとんどです。

そのため「自社としてはこれが最善だと考えます」と自信を持って言い切る必要があり、例え実績がなくて「信頼」を通して実施してもらう必要がありました。

最初はパートナーに一定のリスクを負ってもらいながら検証を進める必要がありますが、一度実施すると、データが蓄積され、その結果を分析して次の改善策につなげることができます。また、一つの成功例が複数のパートナーに展開されることで、プラットフォーム全体のレバレッジを効かせることができます。だからこそ、初めての事例においても果敢に「スタンスをとる」ことの重要性が高まると考えるようになりました。

https://10x.co.jp/news/seminer_202311_report/

とはいえ、まだまだ実績がない → 確度が低い → 自分の意見に自身が持てない→ スタンスをとれないという、不確実なものに対する遠慮サイクルに入ってしまうことも多いので、まずはこだわりの強い部分・得意分野から染み出していき、自分/他者からのなぜ?に答える回数を増やし、取れる選択肢を増やしていきたいと思います。

3/ データの可視化の価値に気づき、データプロダクトという概念を考えるようになった

可視化の重要性とデータをプロダクトのように扱う概念を学んだ年にもなりました。この部分については別途深掘りたいテーマなので、ここではさらっとだけ書きます。

  • データの可視化が小売企業を動かす・採算改善をする第一歩
    • 小売企業が目指す採算改善とビジネスの成長において、データの可視化は一歩目の役割を果たしている。データが正しく可視化されると、より効果的なPDCAサイクル、具体的にはパートナー企業内で課題設定が生まれ、改善施策が走り、振り返りがされ、そのサイクルスピードを上げ、運営自立性をつくる。結果、データに基づいて迅速かつ的確な意思決定を行うことができ、このプロセスをつくることが採算改善への大きな一歩だとわかった。
    • また、小売企業にはデータのパイプラインを構築しデータをつくったり、データ分析の専門性を持った人が何人もいるわけでもないので、データを誰でも扱える状況にすることが重宝される
    • そのため、可視化を行うべきスコープを定め、データを分析可能な状態にし、可視化を実施することを進めてきた
  • プロダクトと同じようにデータの優先度・品質を定義すること
    • 前提として、自社プロダクトStailerの特徴上パートナーの「事業」をまるごと預かる事業であり、かつ中長期でネットスーパーが成長し続けていくことへBetしているため、非常に高い品質が求められます(ref)。これは事業・プロダクトだけでなくデータも同じである
    • 自分の所属がグロース本部のAnalytics&Insightチームがメインでありつつ、アナリストはエンジニアリング本部にまたがるBIチームにも全員所属しており、ここの発足とリードを任せてもらっています。主に分析用途のデータを扱い、社内やパートナー向けにプラットフォームとして提供すべき横断的なデータ・ダッシュボードを定義・提供を通して、組織(ここでは社内+パートナー)全体の意思決定の精度を上げ、データの利活用の推進を進めることをミッションとしています。具体的には、上記で記した効果的なPDCAを回してもらうこと。このPDCAを回すために必要なデータ・ダッシュボードの開発優先度をプロダクトの開発ロードマップをと同様、データロードマップとして定義したりしています。
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    • また、品質の面でいうと、分析用途のデータはユースケースによって必要な品質が異なり、定義する必要があります。品質の低いデータや、そもそも実装されていないデータについては開発の各ドメインチームへ品質を高める要求をしたり新たな開発依頼をすることになります。この過程で、アナリストやデータサイエンスチームがデータの価値を十分に理解している一方で、大本のデータを作る開発ドメインチームが必ずしもその価値を認識しずらい構図がしばしばあります。例えば、プロダクト開発の様々なフェーズでは、活用される予定のなかった「ダークデータ」が存在します。これらには大きなインサイトが隠されている可能性がある一方、開発過程では事業インパクトを生むデータということの認知や伝えられず、また組織上気付きにくくあります。そのため、我々としてはドメインチームと協力してデータの価値を高めることが重要です。解決策はまだまだ着手しようとしている段階ですが、データの利用状況を可視化し、ドメインチームと共有することで、データの価値を理解してもらうことであると思っています。

総括

振り返ると、データを扱う職業人としてのわかりやすいスキルや武器といったものが特段増えた実感はありませんが、「価値観」「概念」「新たに考えるべき視点」を考え、増えた1年になりました。これらはこれまでより、スキルではなく事業に向き合うことが増えたからだと思っています。

年が明けた2024年も事業に向き合い、自分のできることを増やしつつ、強めていきたいと思っています。最後に、今年強化したいポイントをさらっと書いて終えたいと思います。

2024年に強めたいこと

  1. セクションの深いドメイン知識をつけて、その領域でデータから戦略を描き、推進する
  2. 組織を率いてリードする
  3. こだわりを持つ。そのためのインプットを強める